2014.09.12

富士山を彩る植物たち①

富士山日記第20号 執筆者 環境省 富士五湖自然保護官境事務所 アクティブレンジャー 小西

意外と多い植物

静岡県側では10日に登山道が閉鎖になりました。
山梨県側の吉田ルートも15日には閉山と、残すところ数日です。
早いものです。

今回は富士山で見ることのできる植物をご紹介しようと思います。
今までにも自然の多い五合目の御中道などを紹介してきましたが、
「思ったよりずっと植物が多い!」というのが私が着任し、
実際に富士山を歩いてみて感じた点でした。

登山道からふと脇に目をやると、足元に小さな可愛らしい花が咲いていたり、
目線をあげてみると、しゃくなげの華やかな花が風にゆれていたり、、、、、
登山で疲れた身体を元気にしてくれます。

短い登山シーズンの中で、咲く花が少しずつ変わっていくのも
毎回の巡視の際の楽しみです。

第1弾は「フジ」と名のつく植物のご紹介です。

「フジ」と名のつく植物

富士山の周辺には「フジ」と名のつく植物がいくつかあります。

フジザクラ(2014年5月2日 中の茶屋周辺)

<フジザクラ>
マメザクラの別名で、山梨県の県の花にも指定されています。一回り小さく、下を向いて花をつける様子がとても可憐です。

吉田口登山道の中の茶屋周辺に多くみられますが、五合目~六合目でも見ることができます。

フジハタザオ(2014年7月23日 吉田口登山道)

<フジハタザオ>
ハタザオの中でも富士山の砂礫地にのみ生育する固有種です。

溶岩の間から生え、小さな白い花を咲かせている姿はけなげです。

フジアザミ(2014年9月2日 御中道)

<フジアザミ>
ここのところ、富士山日記にも頻繁に登場している8月下旬頃から咲き始める秋の花です。大きくて立派な紫色の花は存在感抜群です。

根がやわらかく須走では「須走牛蒡」と呼ばれ味噌漬けにして食するそうです。

フジアザミはまだ楽しむことができますので、富士山周辺にお越しの際は探してみてください。